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公開日: 2024.11.12
更新日: 2026.01.26

「団塊の世代」とは、第二次世界大戦直後のベビーブーム期に生まれた世代を指す言葉です。約800万人という圧倒的な人口規模を持ち、日本の経済成長を支えてきたこの世代は、2025年に全員が75歳以上の後期高齢者となりました。
本記事では、団塊世代の由来や特徴、高齢化に伴う社会問題、そして企業がこの世代にアプローチするためのマーケティング戦略について詳しく解説します。

団塊世代とは、1947年から1949年にかけて生まれた世代のことを指します。この3年間は「第一次ベビーブーム」と呼ばれ、戦後の混乱期を脱した日本で出生数が急増した時期にあたります。 戦争終結に伴い若年層の結婚が増加したこと、当時は避妊や中絶が厳しく制限されていたことなどが背景となり、わずか3年間で800万人を超える新生児が誕生しました。この突出した人口の塊は、その後の日本社会に多大な影響を与え続けています。
「団塊の世代」という言葉は、1976年に作家の堺屋太一氏が発表した近未来小説『団塊の世代』に由来しています。堺屋氏は当時、通商産業省(現・経済産業省)の官僚として働いており、後に経済企画庁長官も務めた人物です。
この小説では、戦後ベビーブームで生まれた巨大な人口の塊(=団塊)が、オイルショック後の日本経済にどのような影響を与えるかが描かれました。作品がベストセラーとなったことで「団塊の世代」という呼称が広く定着し、以後この世代を指す一般的な名称として使われるようになりました。
なお、団塊世代が産んだ子どもたちは「団塊ジュニア」と呼ばれています。1971年から1974年頃に生まれた第二次ベビーブーム世代がこれにあたり、親世代と同様に人口規模が大きいことが特徴です。
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団塊世代の最大の特徴は、その圧倒的な人口規模にあります。厚生労働省の統計によれば、1947年から1949年までの3年間の出生数は合計で約806万人に達しました。 各年の出生数は以下のとおりです。
特に1949年は日本史上最多の出生数を記録しており、当時の世界ランキングでも中国、インド、アメリカ、ソ連に次ぐ第5位でした。
この数字がいかに突出しているかは、近年のデータと比較すると明らかです。2019年から2021年の3年間における出生数の合計は約251万人であり、団塊世代が生まれた時期の3分の1以下にとどまっています。 総務省統計局によれば、日本の人口ピラミッドには二つの大きな隆起があります。上の隆起が団塊世代(1947〜1949年生まれ)、下の隆起が団塊ジュニア(1971〜1974年生まれ)です。団塊世代にあたる1歳あたりの人口は約216万人にのぼり、近年の1歳児人口約100万人の2倍以上という大きな規模となっています。
団塊世代には、生まれ育った時代背景に起因する独特の価値観や行動様式が見られます。高度経済成長期からバブル期、そしてその崩壊まで、戦後日本の激動を体験してきた世代だからこそ形成された特徴といえるでしょう。
ここでは、マーケティングや事業開発においても重要となる団塊世代の4つの特徴について、その背景とともに解説します。
前述のとおり、団塊世代は3年間で約806万人が生まれた巨大な世代です。この人口の多さは、幼少期から彼らの生活環境に大きな影響を与えました。
当時の学校では、1クラスに50人から60人の児童が在籍することが珍しくありませんでした。学校によっては1学年のクラス数が二桁に及び、教室が不足したため体育館を仕切って授業を行ったというエピソードも残っています。
教育面では、団塊世代が高校に進学した1962年頃には進学率が約64%まで上昇しました。それ以前は50%程度だったことを考えると、この世代から本格的な高学歴化が始まったといえます。「戦後初の大量進学世代」として、日本社会の学歴水準を押し上げた象徴的な存在でもあるのです。
就職面でも大量の新卒者が企業に押し寄せ、日本におけるサラリーマン社会の定着に大きく寄与しました。
団塊世代には、非常に強い競争意識が備わっているといわれています。同年代の人口があまりにも多いため、幼少期から受験競争、就職活動、企業内での出世競争まで、人生のあらゆる段階で激しい競争にさらされてきたからです。
大学入試は「狭き門」であり、就職してからもポストの奪い合いが熾烈を極めました。常に同世代同士でサバイバル競争を強いられてきた世代といえるでしょう。
一方で、強い仲間意識を併せ持つのも団塊世代の特徴です。熾烈な競争を同じ時代に戦い抜いたという連帯感から、同世代同士の結束力が高い傾向があります。学生運動が最も盛んだった時期に大学生活を送った層でもあり、「闘争」を共にした同志的なつながりを感じている人も少なくありません。
また、終身雇用と年功序列が当たり前だった時代に社会人となったことから、所属する会社や組織への帰属意識も非常に強い世代です。OB会や同期会といった同世代ネットワークを大切にする傾向も見られます。
団塊世代には「努力すれば必ず報われる」という価値観を持つ人が多いとされています。これは、彼らが現役で働いていた高度経済成長期やバブル期に、努力が目に見える形で成果に結びつく経験を数多くしてきたためです。
経済が右肩上がりだった時代には、懸命に働けば昇給し昇進できるケースが多く、頑張った分だけ報酬や地位が上がる成功体験を味わうことができました。1980年代後半には史上空前のバブル経済を経験し、「まじめにコツコツ働けば収入や地位に反映される」という実感を得やすい環境にありました。
この価値観は、仕事最優先という当時の働き方にも通じています。男性は仕事に没頭し、女性が専業主婦として家庭を支える核家族モデルが主流だった時代です。仕事に打ち込めば将来は報われると信じ、家庭より仕事を優先することが「正しい」生き方と捉えられていました。
バブル崩壊後の不況も経験していますが、高度成長期の成功モデルへの信頼感は根強く、「我慢強く頑張れば道は拓ける」という前向きな考え方が今も残っています。
団塊世代は新しい文化や流行に敏感な世代でもあります。戦後の復興期から高度成長期にかけて、日本には海外からさまざまな最先端カルチャーが流入しました。
1960年代には「ミニスカートの女王」と呼ばれたツイッギーが来日してファッションに革命を起こし、ビートルズやローリング・ストーンズといった欧米のロック音楽が大ブームとなりました。団塊世代はこうしたアメリカンカルチャーの洗礼を受けた最初の世代であり、ジーンズやロック音楽といった当時革新的だった海外文化を積極的に取り入れ、日本に定着させた立役者でもあります。
家電製品においても、白黒テレビ・電気洗濯機・冷蔵庫といった「三種の神器」の普及を目の当たりにし、青年期にはカラーテレビ・自動車・クーラーという新「三種の神器」の登場も経験しています。1964年の東京オリンピック開催に伴う新幹線開通や高速道路網の整備など、大規模インフラの発展もリアルタイムで体験した世代です。
こうした背景から、「新発売」「流行」といった言葉に惹かれやすい傾向があります。総務省の調査によれば、2020年代には65歳から74歳のインターネット利用率が80%を超えており、SNSを活用するシニアも急増しています。
人口規模が非常に大きい団塊世代が一斉に高齢期を迎えることは、日本社会にさまざまな課題をもたらしています。2025年には団塊世代の全員が75歳以上となり、いわゆる「2025年問題」として懸念されていた状況が現実のものとなりました。
ここでは、団塊世代の高齢化がもたらす主な社会的影響について解説します。
高齢者の急増に伴う社会保障費の膨張は、最も深刻な懸念事項の一つです。人口の多い団塊世代が後期高齢者となったことで、医療・介護にかかる費用は今後さらに増大すると予測されています。
日本の医療制度では、75歳以上になると患者本人の医療費自己負担割合が原則1割(現役並み所得者を除く)に引き下げられます。医療費の大部分を公費や若年世代の保険料負担でまかなう仕組みであり、800万人超という巨大な高齢者集団が新たに加わることで、現役世代の負担増は避けられない状況です。
年金制度についても課題が山積しています。団塊世代が受給を開始した2000年代以降、支え手となる現役世代が相対的に減少したため、制度維持が困難になりつつあります。1990年代から繰り返し年金制度改革が議論され、受給開始年齢の引き上げや給付額の抑制といった措置が講じられてきました。
団塊世代の大量引退により、労働力人口の減少・不足も深刻な問題となっています。総務省の「人口推計(2024年10月1日現在)」によれば、15歳から64歳の生産年齢人口は7372万8千人で、前年に比べ22万4千人減少しています。
出典:総務省統計局「人口推計(2024年(令和6年)10月1日現在)」
2007年前後に団塊世代が一斉に定年退職した際には「2007年問題」として注目されました。有能で経験豊富なベテラン社員が一気に抜けることによる人手不足、長年企業内に蓄積されたノウハウや技術の継承問題、まとまった退職金支払いによる企業の財務負担などが課題として挙げられていました。
2025年以降は、生産年齢人口の絶対数が大幅に減少するため、深刻な人手不足が多くの産業で常態化すると見られています。特に介護・看護・建設・保育といった需要が伸びる分野ほど人材確保が難しくなるとされ、政府もこれらの分野での人材育成や労働環境整備に力を入れています。
少子高齢化により経済の成長力が鈍化することも避けられない課題です。働き手の不足はそのまま国全体の生産力低下につながり、日本経済の成長率は押し下げられると予測されています。
日本のGDP成長率は高度成長期には年率10%前後でしたが、2000年代以降は1%台に低迷しています。団塊世代の大量引退が始まった2007年前後から、潜在成長率の低下や内需の減退が顕著になったとの分析もあります。
人口減少により国内市場のサイズ自体が縮小し、個人消費も細ることで、企業の生産活動も縮小均衡を余儀なくされます。高齢化が進めば貯蓄を切り崩して生活する高齢者が増えるため、社会全体として投資に回る資金が減少することも予想されています。
さらに2040年頃には団塊ジュニア世代が高齢化する「2040年問題」も控えており、労働力不足や社会保障費増大のさらなる深刻化が指摘されています。
こうした社会課題を踏まえた上で、シニア市場の動向を正しく理解することが企業にとって重要になっています。シニア層の消費行動や価値観の変化について詳しく知りたい方は、以下の資料をご活用ください。
シニア層の消費行動について詳しく知る 「超高齢社会についての調査レポート」
ダウンロードはこちら:
定年退職を迎え、子育ても終了した団塊世代は、現在どのようなことに関心を持ち、どのような悩みを抱えているのでしょうか。マーケティング施策を考える上でも、彼らの内面的なニーズや不安を理解することは欠かせません。
【団塊世代の関心事と悩みの傾向】
孫消費も活発で、孫のために使った金額の平均は約10.5万円となっています。「今後孫としたいこと」では「外食」が54.3%、「旅行」が50.7%と上位に挙がっており、孫と一緒に出かけたいという思いが強いことがわかります。
健康面では、内閣府の「令和3年度 高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査」によると、日頃心がけていることとして「健康管理」が70.3%、「食事」が70.2%と、いずれも7割を超えました。シニア世代の健康意識の高さがうかがえます。
出典:内閣府「令和3年度 高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査」
一方、団塊世代には「子どもの世話にはなりたくない」という自立心が非常に強いといわれています。自分のことは自分で決めたいというプライドがあり、「年寄り扱いされたくない」という気持ちも根強くあります。その反面、歳を重ねるにつれて家族や友人との絆をより大切にする傾向も見られます。
人口規模が大きく経済的影響力も持つ団塊・シニア世代に対して、企業はどのようなマーケティング施策でアプローチすれば良いのでしょうか。彼らのニーズや心理を踏まえた効果的なポイントを解説します。
重要なのは、シニア層を一括りにせず、その世代特有の価値観や行動様式を理解した上で施策を設計することです。
シニアマーケティングにおいて注目すべきキーワードの一つが「つながり(絆)の価値」です。高齢になると人との交流が減りがちですが、それだけに家族や友人との絆を維持・強化することへの欲求が強くなります。
NTTデータ経営研究所の「人生100年時代における次世代シニアのニーズ調査」によれば、シニア層が人との関わりに期待することとして「日常的に話をする相手がいること」が50.0%、「困ったときに支えあえること」が43.6%と上位に挙がっています。特にこれらの期待は年代が上がるほど高くなる傾向があり、シニア世代にとって「つながり」がいかに重要かがわかります。
出典:NTTデータ経営研究所「人生100年時代における次世代シニアのニーズ調査」
シニア世代に商品やサービスを訴求する際には、それを使うことで大切な人と繋がれる、孤独にならずにすむといったメッセージが響きやすいといえます。「家族愛」「仲間との絆」「社会とのつながり」をキーワードに、心を満たすような機能やメッセージを提供することが効果的でしょう。
また「社会との繋がり」を感じられる仕掛けも有効です。シニアは社会参加や貢献欲求が比較的高い傾向があるため、「あなたの意見を聞かせてください」というアンケート形式の訴求に応じてもらいやすくなります。単に一方的に宣伝するのではなく、「あなたの経験や声を役立ててほしい」という双方向のつながりを演出することで、シニア世代の心を動かすことができるのです。
団塊・シニア世代にリーチするには、複数のメディアチャネルを組み合わせて接点を持つ戦略が有効です。
団塊・シニア世代はテレビや新聞など従来型メディアに親しんできた一方、近年ではスマートフォンやインターネットにも一定割合が移行しており、情報接触チャネルが多岐にわたります。総務省の調査でも65歳から74歳のインターネット利用率は80%を超えており、デジタルとアナログの両面からアプローチすることが重要です。
シニア層はITリテラシーに個人差があるため、デジタルだけでは不十分である一方、アナログだけでも取りこぼしが出る可能性があります。ネットを駆使して情報収集する「アクティブシニア」にはウェブ広告やSNS広告でリーチしつつ、新聞・雑誌・折込チラシなど従来チャネルにもリソースを投下する「マルチメディア戦略」が効果的です。
シニアは一度で購入行動に移らず、複数回情報に接触して意思決定する傾向があります。複数チャネルで繰り返し露出させて信頼感を醸成することが、シニアマーケティングでは特に重要です。
シニア層の消費行動や年代別の特徴について詳しく知りたい方は、以下の資料をご活用ください。
シニアの消費行動を年代別に詳しく知る 「シニアトレンド白書~シニアの消費行動 年代別レポート~」
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株式会社オースタンスは「歳を重ねて、楽しみがある人生に。」というビジョンを掲げ、シニア世代向けのさまざまなサービスや事業支援を展開しています。
当社が運営する「趣味人倶楽部」は、会員数42万人を誇る日本最大級のシニア向けコミュニティSNSです。50代から60代を中心としたアクティブシニアが多数参加しており、旅行、カメラ、カラオケ、ゴルフ、ダンスなど共通の趣味を通じて交流できる場を提供しています。
また当社の強みは、42万人分のシニアの行動データと長年の研究知見を活用したマーケティング支援にあります。商品・サービス企画段階からプロモーション・販促・顧客育成まで一気通貫で支援を行っておりますので、シニア市場へのアプローチをご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。
シニア向けマーケティングメニュー資料はこちら:
団塊世代は、日本のマーケットにおいて無視できない規模と影響力を持つ存在です。人口が多く可処分所得も高い上、ブランドへのロイヤルティも高いとされるこの世代を取り込むことは、企業にとって大きなビジネスチャンスとなり得ます。
一方で、彼らが後期高齢者となった今、従来の延長線上のやり方では響かない部分も出てきています。「努力は報われる」世代だからこそ響くメッセージや、「年寄り扱いを嫌う」心理に配慮した表現、家族・仲間との繋がりを感じられるサービス設計など、団塊世代の気持ちに寄り添ったアプローチが成功の鍵となるでしょう。

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